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木材の伐採
by 草島すなお
伐採後中田さんを囲んで
平成15年10月、家造りを思い描いてほぼ一年が経過し、待ちに待った木の伐採の日をようやく迎えることができた。
伐採をしてもらうのは、この道のベテランで中田さんの遠縁にあたる岩間さんという方だ。この2人は、とやまの木で家をつくる会の1号と3号の家づくり以来の名コンビだ。
当日は、私たち家族(妻と2人の子供)に加え、工務店の正保さんと設計を担当していただいた青山さんにも立ち会ってもらった。
最初に伐採したのは、通柱にするタテヤマスギであった。直径30cmにも満たないこの木は、ウォーミングアップには手頃な木だ。名コンビの2人は、はしゃぐ我々家族と時たま記念写真に入っては、淡々と伐採作業を進めていく。中田さん曰く、「岩間さんは大根を引き抜くように次々に手際よく木を切り倒していく。」正に職人技である。私はこの時を逃すまいとカメラのシャッターを押しまくった。
タテヤマスギの後は、中田さんが柱材用に仕立て上げたカワイダニスギだ。伐採した丸太の小口を見ると、きれいな赤みに、同心円の年輪がコンパスで描いたように刻まれている。ここにも、30年の中田さんの職人技が凝縮していた。
柱用のスギ木口 地スギと私
ウォーミングアップを終えると、いよいよ本日のメーンイベント、約100年生のアテの大木だ。岩間さんの様子も、これまでのスギとは異なって、この大木に対しては、特に慎重なようだ。周辺を整理し、切り倒す方向を確認しながら、チェンソーの歯を入れる。スギと違って堅いアテの木は、なかなかチェンソーの歯が進まない。我々も危険を回避して、少し離れたところから成り行きを見守る。頃合いを見て、中田さんのくさびが切り目に打ち込まれ、「ドッシッーン」という、大きな地響きをたてて大木は予定通りの方向に倒れていった。すかさず切り株に駆け寄る私達。今度はきれいな黄色をした直径1mにもならんとする切り株から、何ともいえないアテの木独特のいい香りが漂ってきた。
「ああ、アテの香りだ。」そしてまた、記念写真。
アテの切り株
こうして、午前中の作業が終わり、例のスギの大木の伐採は2日目に持ち越されることとなった。切り倒される前のスギの大木の最後の勇姿を家族に見せるため、その場所へ連れて行った。こどもたちは、初めて見る雄々しいその姿に感嘆の声を上げていた。手をつないでその木を取り囲み、改めてその大きさを実感した。こんなりっぱな木を分けてくれた中田さんには、ただただ感謝であった。2日後、すべての伐採が完了したと、中田さんから連絡をいただいた。
翌週、木材代金を支払いに中田さんを訪ねると、一目散に例の大木を見に行った。切り口はこれまでに見たこともない濃赤で、急傾斜地で足場が悪いにもかかわらず、大木は地面すれすれで伐られており、切り株と呼ばれるほどのものはほとんど見られなかった。ここにも、プロの技がしっかりと刻まれていた。
伐採請負人の岩間さんが初日の午前の仕事を終えてつぶやいていた言葉が気に掛かる。「たった、あれだけ伐っただけでもう体にきてしもうた。もう年やは。」こんな技術を持った職人さんもやがていなくなるのだろうか。
木材代金については、市場価格を基準に、木材の林齢と手入れの善し悪しを2つの因子として掛け合わせた私独自の評価方式で算出した金額で両者合意し、その晩は、夜更けまで2人うまい酒を酌み交わした。酒のつまみは、炭火で焼いた大きな肉厚のシイタケ。炭もシイタケも中田さんの自家製だが、これがまた格別にうまい。
地スギを囲む家族の環
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