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木で建てた家は年数が経つほど愛しくなる
デイケアハウス「にぎやか」 阪井由佳子さん
 
玄関横では、スタッフが拾ってきたパグ犬?の「ひめ」が、愛嬌たっぷりにお出迎え。 やわらかい印象の「にぎやか」の外観。
富山市内でデイケアハウス「にぎやか」を開いている阪井さんが、とやまの木で「にぎやか」を新築したいと思ったのは、平成12年のこと。
「木は伐っても生きている」ということばに胸を打たれ、とやまの木をふんだんに使った家を建てたいと思った。
 
お気に入りの場所はみんなが集まるこのリビング。いつも笑いが絶えない。(左から2番目が阪井さん) 自宅のように思い思いに過ごします。赤ちゃんも歩行器に乗って自由に移動。
計画が進み、平成13年5月には、阪井さんと「にぎやか」の通所者、スタッフ、建築家など総勢45名で、自分たちの住む家に使われる杉の木を訪ねる「お見合い」に出かけた。
場所は富山市吉野(旧大沢野町)にある、林業家の阿折俊正さんが丹精して育てた森林。阿折さんが20代のときに植えた樹齢50年の立山スギを見て、「これが自分たちの家になるんだ」と感動したそうだ。
そのスギの木々は、伐採の後、約1年間自然乾燥され、平成14年10月に建前、平成15年3月に新しい「にぎやか」が完成した。
 
台所では、スタッフと通所者が楽しそうにお昼ご飯の用意。 阿折さんからプレゼントされた木登りができるひのき(2階部分)。残念ながら、2階を増築したときに1階部分を切った。その1階部分のヒノキは、八尾のデイサービスにお嫁入りし、玄関でモニュメントになっているとか。
「つくってからもう5年、木で建てた家って、年数が経つほどいい家になると思うんです。その木の中に笑いあり、涙ありで生きた証が残っていくし、思い出がいっぱいつまっていく。無垢の木は身も心も暖かく包んでくれるし、傷は味わいになり、色は深みを帯びて、いっしょに年をとるから、家が愛しくなる」と、阪井さん。
設計段階では靴を脱いで上がる空間があればいいと思っていた玄関が、意外と話が盛り上がる交流のスペースになるからある程度の広さが必要とか、住宅街は玄関の向きも隣近所に配慮しないといけないとか、窓も明るさや家具を置くことを考慮して大きさや位置を考えないといけないとか、住んでみて初めて気づくこともあったそうだが、木に包まれた生活は何事にも代えがたい安らぎを与えてくれている。
 
必需品のティッシュは木のケースごと柱に備え付けてある。探す手間もかからず、必要なときにすぐ使えて便利。 スタンプと落書きされた2階の手すり。最初はビックリしたが、いたずら書きした子も大きくなり、それもまた思い出になっているとか。
 
書類がいっぱいの2階事務所も落ち着いた雰囲気。でも、なぜあひるがここに? お花も階段の踊り場にさりげなく飾られていました。
「家づくりって一生に一度のことだから、じっくり時間をかけて建てられればいいと思う。細かいところはどうしても設計士さんにお任せしてしまうけど、本当はいっしょに考える時間が取れるといいなあ。それに、家を建てたら終わりではなく、お金をかけて建てた分、磨いたり、メンテしたり、改装していけるのも木づくりの家の良さ。木は家になってからも私たちといっしょに生きているから、家も古くなるけれど、人もそこで年老いていって死ねたら最高だと思う」
阿折さんから引き継いだ富山育ちの木に包まれた「にぎやか」は、とても居心地のいい場所だ。

玄関前の駐車場で焼いているのは、この日の昼食、あゆの塩焼き(いい匂い)。 こういう光景も「にぎやか」ならでは。
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